ドイツの今と昔を発見しよう!

© Bjoern Rudek

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ドイツの古都 ビール醸造物語り

発見ツアー: 長寿のホップ、麦芽、水

http://www.historicgermany.travel/assetimage_3339_250w166.jpg 1516年4月23日、ドイツのビール純粋令がバイエルン州法により制定されました。数千年の歴史を持つ黄金色の大麦の麦芽汁は世界中で飲まれていますが、ドイツでは国民的飲み物になっています。ビールの歴史、ビールにまつわる興味深い逸話、ビール関連のイベントはドイツ全土で発見できます。

 約6000年前、メソポタミア地域で生まれたと言われるビールは幸運の産物です。紀元前800年頃の遺跡で発見されたビール壺「アンフォラ」を通して、ゲルマン人の祖先はすでに当時からビールを飲む習慣を持っていたことが分かっています。 ビールは最初の頃はなかなか広まらなかったようですが、徐々に大きな成功を収め、世界を席巻します。多くの都市で、それぞれに特徴ある発展を遂げてきたドイツのビール史を探索しませんか。文化的な背景や歴史だけではなく、地域に根ざした地ビールの幅広い多様性にも、大きな魅力が隠れています。

 中世初期、ビール醸造に主に勤しんでいたのは「液体が断食を妨げることはない」と言う僧侶たちでした。現在でも、当時の僧侶の古い醸造法に忠実に従ってビールを生産している醸造所が残っています。例えば、ハイデルベルクの醸造所「クロスターホフ醸造(Brauerei zum Klosterhof)」は「ノイブルク修道院(Stift Neuburg)」に属し、その歴史は12世紀にまで遡ります。ノイブルク修道院には現在15人の僧侶が住んでいます。自然に恵まれた環境の中で、すべて有機栽培の原料による自然ビールも生産されています。クロスターホフ醸造は、試飲と3品コース料理が付いたビールセミナーも提供しています。訪問するアクセスも、とてもユニーク。ハイデルベルクとノイブルク修道院間のネッカー川上を毎日数回往復している「ヴァイセ・フロッテ(Weiße Flotte)」船で醸造所に向かうと、雰囲気も一段と盛り上がります(所要時間約30分)。

ハンザ都市の生きた醸造の伝統http://www.historicgermany.travel/assetimage_2722_250w189.jpg いつの日か、商人たちも醸造の技術を発見することになります。世界的な貿易ルートの発展に伴い、偉大な商人と裕福なギルドの時代が始まり、ビール醸造者も経済発展の恩恵を受けます。1358年に成立したハンザ同盟によって大きく繁栄した多くの都市。ハンザ同盟都市、ロストックでは、今でもビールの伝統を多様な形で発見することができます。1878年創立の「ロストック・ハンザ醸造所(Hanseatische Brauerei Rostock)」は、見学者に開放している由緒ある醸造所です。ロストック動物園の近くにある「トロッツェンブルク(Trotzenburg)」は1899年に開業した老舗のレストランですが、醸造所を併設して2001年に新たにオープンしました。長い伝統の魅力と郷愁を呼ぶ装飾にあふれているのは、自家製ビールも醸造しているロストックの居酒屋「ツム・アルテン・フリッツ(Zum Alten Fritz)」です。船を眺めながら食事を楽しめる、港に面したロケーション。懐かしい銅製のヤカンや赤茶色のレンガを背景に運ばれてくる郷土料理の味は格別です。クラシックなテーブル・セッティングによる饗宴が好きな方々へのおすすめは、ハンザ都市、オズナブリュックの醸造所レストラン「ランペンダール(Hausbrauerei Rampendahl)」です。この醸造所が一体いつ頃開業したのかは不明ですが、ランペンダールがオズナブリュック市で最も古い施設のひとつであることは確かです。建物には18世紀中旬のバロック様式の貴重な切り妻造りが残っています。 

ビールの多様性とドイツの純粋令

 しかし、ビール醸造業の拡大に伴い、悪徳業者が出てきたのも事実です。飲兵衛たちから金を儲けるために、混ぜ物入りの低品質ビールを販売していた多くの醸造業者が摘発されました。バイエルン州のアウグスブルクは、混ぜ物入りのビールを防ぐ対策を早期から講じています。自由帝国都市の地方自治法により、低品質のビールの醸造は1156年から禁止されました。ドイツの文化圏の中でも、アウグスブルクは最古の醸造会社の証が残っている典型的な都市です。純粋令を1143年に制定したアウグスブルクには、現在でも大きな醸造会社が4社あります。1386年に創立された醸造所「リーゲレ(Riegele)」は、世界最古のビール醸造所のひとつです。リーゲレ社で醸造所の見学やビール醸造研修などに参加すると、長い伝統だけではなく、近代性にも富んだ醸造所であることが分かります。また、ビールストアでは、面白くて便利な麦芽汁の備品なども販売されています。

 混ぜ物を入れた粗悪なビールの問題は他の都市にもありました。1516年4月23日、バイエルン公ヴィルヘルム4世と弟のルートヴィヒ10世が、ビールの生産には、大麦の麦芽、ホップ、水のみを使用する令を全土に施行した大きな理由です。ドイツの純粋令の指導書に準拠はしていても、ビールの種類によって大きな違いがあります。例えば、低地ライン地方では「アルトビール(Altbier)」が好んで飲まれますが、これは地域の温暖な気候に関係しています。冷蔵設備などは存在しない時代でしたが、低温度を保つ環境は通常の下面発酵の醸造工程には欠かせません。そこで、酵母を15~22度の温度で発酵させる上面発酵が開発されました。北ライン西ファーレン州のミュンスター市には、一時期、アルトビール醸造所が150社もありましたが、現在ではわずか1社しか残っていません。醸造所「ピンクス・ミュラー(Pinkus Müller)」です。

領主の醸造所

http://www.historicgermany.travel/assetimage_3340_250w189.jpg 30年戦争(1618~1648年)が終わる頃になると、フランケン地方の兵士たちは、ほとんどの貯蔵ワインを飲み干してしまいました。そこで、男たちには代わりにビールを提供する案が浮かびます。1643年、ヴュルツブルクに設立された「宮廷醸造所(Fürstliches Hofbräuhaus)」は、現在、当市で最古の会社です。また、荘厳な雰囲気を持った醸造所ならブランデンブルク州にあります。州都、ポツダムの醸造所「ボルンシュテット宮廷(Krongut Bornstedt)」では、1689年から「ボルンシュテット・バッファロー(Bornstedt Buffalo)」ビールが醸造されています。醸造所を見学すると当醸造所の詳しい歴史も学ぶことができます。ポツダムの湖「ユングフェルンゼー(Jungfernsee)」に面した場所には、1791年、フリートリヒ・ヴィルヘルム2世によって建設された「新庭園の酪農園(Meierei im Neuen Garten)」があります。ここでは、由緒ある部屋で多くの名物ビールを味わえます。

14の古都